現実   対   虚構
<ニッポン>vs<ゴジラ>

今回ご紹介する映画:『シン・ゴジラ』
オススメ度:★★★☆☆(三ツ星)


予告編動画




『シン・ゴジラ』のあらすじ

東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが……。(シネマトゥデイ


『シン・ゴジラ』公式ホームページ


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ついに公開された『シン・ゴジラ』。あまりの高評価の嵐は、まぁ、予想の範囲内ですね。「日本で作ったゴジラ」だから無条件に100点満点という方が、かなりいらっしゃいます。

2015年にエヴァ完結編を製作せず、公開しなかった庵野秀明監督。絶好のタイミングによるエヴァの幕引きを蹴ってまで製作した『シン・ゴジラ』の感想を書きたいと思いますが……想像していた通り、やってくれましたね、庵野監督。いろんな意味で。



『シン・ゴジラ』映画情報

『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明と『進撃の巨人』シリーズなどの樋口真嗣が総監督と監督を務め、日本発のゴジラとしては初めてフルCGで作られた特撮。現代日本に出現したゴジラが、戦車などからの攻撃をものともせずに暴れる姿を活写する。内閣官房副長官役の長谷川博己、内閣総理大臣補佐官役の竹野内豊、アメリカの大統領特使役の石原さとみほか300名を超えるキャストが豪華集結。不気味に赤く発光するゴジラのビジュアルや、自衛隊の全面協力を得て撮影された迫力あるバトルに期待。(シネマトゥデイ


『シン・ゴジラ』のスタッフとキャスト

スタッフ
脚本・編集・総監督:庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣
准監督・特技統括:尾上克郎
音楽:鷺巣詩郎
製作:市川南
エグゼクティブプロデューサー:山内章弘
プロデューサー:佐藤善宏、澁澤匡哉、和田倉和利
プロダクション統括:佐藤毅
ラインプロデューサー:森徹、森賢正
撮影:山田康介
照明:川邉隆之
美術:林田裕至、佐久嶋依里
美術デザイン:稲付正人
装飾:坂本朗、高橋俊秋
録音:中村淳
整音:山田陽
音響効果:野口透
編集・VFXスーパーバイザー:佐藤敦紀
VFXプロデューサー:大屋哲男
扮飾統括:柘植伊佐夫
スタイリスト:前田勇弥
ゴジライメージデザイン:前田真宏
ゴジラキャラクターデザイン:竹谷隆之
ゴジラアニメーションスーパーバイザー:佐藤篤司
特殊造形プロデューサー:西村喜廣
カラーグレーダー:齋藤精二
音楽プロデューサー:北原京子
スクリプター:田口良子、河島順子
キャスティングプロデューサー:杉野剛、南明日香
総監督助手:轟木一騎
助監督:足立公良
自衛隊担当:岩谷浩
製作担当:片平大輔
宣伝プロデューサー:是枝宗男、稲垣優
B班撮影:鈴木啓造、桜井景一
B班照明:小笠原篤志
B班美術:三池敏夫
B班操演:関山和昭
B班スクリプター:増子さおり
B班助監督:中山権正
C班監督:石田雄介
C班助監督:市原直
D班撮影・録音・監督:摩砂雪、轟木一騎、庵野秀明


キャスト
矢口蘭堂内閣官房副長官:長谷川博己
赤坂秀樹内閣総理大臣補佐官:竹野内豊
カヨコ・アン・パタースン米国大統領特使:石原さとみ
環境省官僚:市川実日子
内閣官房長官:柄本明
内閣総理大臣:大杉漣
官邸職員:片桐はいり
自衛隊関係者:國村隼
消防隊隊長:小出恵介
内閣官房副長官秘書官(防衛省出身):高良健吾
自衛隊関係者:斎藤工
外務省官僚:嶋田久作
厚生労働省官僚:津田寛治
自衛隊関係者:鶴見辰吾
文部科学大臣:手塚とおる
自衛隊関係者:ピエール瀧
東京都副知事:藤木孝
警察庁長官官房長:古田新太
ジャーナリスト:松尾スズキ
国土交通大臣:矢島健一
防衛大臣:余貴美子



シン・ゴジラ音楽集
using あまらく



『シン・ゴジラ』の感想

一言で表すのであれば、面白い! 日本人であれば、絶対に一度は鑑賞して欲しい映画となっています。

なぜなら、この『シン・ゴジラ』はディザスター・ムービーだからです。予想を遥かに上回る災害に直面した時、日本はどう動くのか。どう動かなければいけないのか。ゴジラを使って、日本の在り方に疑問を呈した問題提起型の映画なんですね。

だから、子供が観てもピンとこないかもしれません。お子さんと『シン・ゴジラ』を観に行くなら、むしろポケモンや仮面ライダーを観に行った方が良いです。『シン・ゴジラ』は大人のための映画。だからこそ、大人は『シン・ゴジラ』を観終わった後に自身に問いかけなければなりません。「自分はどうすべきか」と。

ただ他の人が書いているほどのインパクトを、私自身は感じることができませんでした。というのも、多少の想定外なる展開はありましたが、大方は期待通りでしたから。人が映画面白いと感じるとき、それは自分の期待値を遥かに上回った時です。残念ながら、私としては「まぁ、こんな感じだよね」ってところまででした。



『シン・ゴジラ』の良いところ

おそらくゴジラ映画史上、最もスピーディーな展開の作品ですね。前置きも一切なくて、最初から最後まで、文字通りクライマックスです。

日本がゴジラ映画を作ると、どうしても怪獣映画になりがちで、大人が鑑賞できるような作品は数少ないです。金子修介監督のように、意図的に怪獣映画にするのであれば良いのですが、怪獣映画にしないという決断ができないのが日本映画界の悪いところです。そんな状況において、アニメ製作を中心に手がけている人々が本気でゴジラを製作したところ、怪獣映画ではなく、大人が観ても耐えうる映画が誕生しました。ようやく海外に追いついたという印象がありますね。どれだけの年数がかかったのか。

さて、本作はゴジラ映画・怪獣映画ではありません。ということは、今までレジェンダリー版ゴジラを酷評していた人々の嫌いな人間ドラマがメインな訳です。この人間ドラマが、非常にリアリティーのあるもので、素晴らしかった。エンターテインメント性を排したことで、より現実味のある重厚な描写がなされ、グイグイと映画の世界に引き込まれる構図になっていました。この点は、他のゴジラ映画とは一線を画します。

おそらくこの映画を輸出しても他の国ではピンとこないであろう、日本でしか受けない映画ではありますが、2011年3月11日の災害と、最近では熊本の震災を経験した我々だからこそ、観なくてはいけない、そんな映画になっています。ぜひ映画館で鑑賞してみてください。



『シン・ゴジラ』の悪いところ

庵野監督には、本作を製作するにあたり、絶対に越えてはいけないラインがありました。ラインギリギリのところに踏みとどまって欲しかった。しかし、実際は……お察しください。非常にクオリティーの高い作品であるだけに、そのラインを何のためらいもなく越えた庵野監督のクリエイターとしての限界を見てしまった。そんな気がします。


『シン・ゴジラ』のまとめ

本当は皆と同じように「満点!すげぇ!」って言いたかったんですよ。これだけ高評価なら、きっとあれだけはしないだろうと期待したんです。けれど、皆、なんかあえてスルーしてますよね。どうしてみんな、日本が作ったゴジラに対して採点が甘くなるんでしょうねぇ。不思議だ。

「人間ドラマなんていらない。怪獣が観たいんだ!」って言っていた人々が本作を観て手のひらを返すように「人間ドラマがしっかり展開されていて良かった」ってドヤ顔で評価を書いているのには閉口しました。なんだそれって。

面白いことは面白い。けれど、皆が騒ぐほどではないなぁと思っています。ただ2回目を鑑賞すると、違う感想が出てくるような気もするんですよね。時間があれば、もう一度鑑賞しようと考えています。私が思うに、2回目以降の方が面白い、そんな気がします。

災害映画としては、日本が製作した作品の中でもトップクラスの出来なので、ゴジラに興味がなくても、それなりに楽しめるはず。お子さんは、大人の頑張る姿が格好良く映るか否かで、評価がわかれちゃうんじゃないかな。

あまり書いている人がいないので、書いちゃうと、映画としての面白さはレジェンダリー版『ゴジラ』に軍配があがります。映画的なハラハラドキドキ感もありますしね。『シン・ゴジラ』の面白さや怖さは、映画としてではなく身近なものとしてストーリーに共感できるところなんです。それはドキュメンタリーに近い感覚。だから、映画としてのクオリティーは低い。海外に持って行っても、一定の評価はあるものの、レジェンダリー版を越えることは少ないかと思います。けれど、怪獣をモチーフに日本社会に問題提起する『シン・ゴジラ』は、映画という枠を越えて、人々に様々な思いを想起させる稀有な映画です。ぜひ、映画館で鑑賞して欲しい!





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↓ここからネタバレあり。注意!↓





『シン・ゴジラ』ネタバレあり感想

恐れていた事が実際、目の前で展開された時、わたしは、ぐったりとしてしまいました。

『シン・ゴジラ』について、庵野監督は「ヱヴァンゲリヲン」を蹴って製作したにも関わらず、結局は、その「ヱヴァンゲリヲン」に頼らなければいけなかったというのが、本当に、もう残念。誰も、この事に触れることなく高評価を付けているのが、また残念。「ああ、エヴァの完結編は、きっと、かなり適当なものに仕上がるんじゃないかなぁ~」って心配 になりました。

エヴァ要素の取り入れに対し、大胆と取るかどうかは観客次第です。少なくとも私は「つまりエヴァを実写で撮りたかったのね」と解釈しました。あまりの予想通りな展開にびっくりするとともに、がっかりしました。

エヴァのBGMを使用するのは、まぁ許容範囲でしょうか。明らかにコメディーになっているにも関わらず画面がシリアスなのでテンションがよくわからなくなりましたけど。ゴジラが火を吐くシーンで今までとは違う描写なのも大丈夫。これは純粋に格好良かった。口が割れるところは個人的にはナイス。ただ背中からビームはねぇ……使徒?使徒なの? 明らかに過剰な演出。対空兵器を出したかったのはわかるんですけど、いや、庵野監督がそれをやると完全に巨神兵であり、エヴァであり、使徒ですよ。なんですか、その演出は?

私が今回、イマイチ、ビッグウェーブに乗れなかったのは、この点なんです。つまりエヴァに頼らずに映画を作りきって欲しかったのに、エヴァに頼ったあたりに、庵野監督の限界を見せられてしまった気がしたんです。さらにいうなら、庵野監督が「おれは、こんなものしか作れないんだ、わかった、お前ら?」って釘を刺されたような気もします。「だから、エヴァとか期待するんじゃねぇよ」って。

背中からびぃーむ!さえなければ、私も、この映画を絶賛しました。けれど、このシーンを観た瞬間、萎えました。ああ、今まで観ていたのは実写版エヴァだったのかと。

怪獣映画が好きでエヴァを製作していたはずなのに、いつの間にか、エヴァに侵食されすぎて、大好きなはずの怪獣映画さえ作ることができなくなったというのが、本当のところなのかもしれません。

いろいろ書きましたけれど、面白いことに変わりはありません。しかし、私のような、いわゆるエヴァ世代やエヴァに馴染みのある人にとっては、かなり微妙な箇所があるのも事実。う~ん、もう一回みて、このモヤモヤを消したい。。。

あ、そうそう。最初のゴジラ第二形態?は、なんかキモカワでしたね。個人的には、ちょっとキュートに感じました。あれ、デフォルメされたぬいぐるみとか出ないかなぁ。


『シン・ゴジラ』のレビューや評価

新しい切り口で表現されているゴジラなんて言われていますが、私はゴジラじゃなくていいんじゃね?が正直な感想です。

やってくれました。ハリウッド版と比べても遜色ないどころか、心の奥底まで撃ち込む恐怖感は数段日本版が上。未知の恐怖との対戦シュミレーションとして観ても面白いし、縦割り&法律にがんじがらめで動きの鈍い日本政府の描写なんかもよく出来ている。薄っぺらいヒューマン・ドラマ要素を排除してあるのも好印象。また大人が観ても、もちろん子供が観ても楽しめる作品に仕上げてあるのも素晴らしい。

これぞ映画!これぞ娯楽!
血湧き肉躍る!全身の細胞が躍動するのが感じ取れる!


YAHOO!JAPAN映画『シン・ゴジラ』