ゼニと頭は、使いよう。

無私の日本人 (文春文庫)
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『殿、利息でござる!』

予告編動画




今回は先日鑑賞した映画『殿、利息でござる!』の感想を<ネタバレあり>で書いていきます。ただ今上映中の新作邦画ですので、未見の人は、今回はスルーしてください。おねがいいたします。

↓ネタバレなし感想↓



『殿、利息でござる!』のあらすじ

江戸時代中期。小さな宿場町・吉岡宿にて。とある理由で財政が逼迫した仙台藩は、領民に重税を課したことで、領民たちは破産したり、夜逃げしたりし、おかげで、ただでさえ旅人の数が減少していて、従来のビジネスモデルの遂行が難しくなっている吉岡宿は困窮しきっていた。

このままでは吉岡宿がなくなってしまう。危機感を募らせる造り酒屋の穀田屋十三郎は、帰郷した茶師で自称・吉岡宿一の知恵者の菅原屋篤平治から「藩に大金を貸し付け利息を巻き上げる」というアイデアを聞かされる。百姓が搾取される側から搾取する側に回るという逆転の発想。お金を集めることが困難な上に、お上に知られたら確実に打ち首ものだ。菅原屋は酒の席の戯れ言ですと、その場で流す。しかし、穀田屋の瞳には、ある決意が宿っていた。

時間は流れ、ある日、菅原屋の元に同志を連れた穀田屋が姿を現す。穀田屋は本気で金を集め、お上に金を貸そうとしていたのだ!同志がじょじょに集まっていき、動き出す「宿場救済計画」。吉岡宿を存続させるため、前代未聞の金貸し事業を成功させるべく、町人たちは私財を投げ打ち、無謀な悲願に命をかけて挑むのだった。



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『殿、利息でござる!』の概要

『武士の家計簿』の磯田道史さんによる『無私の日本人』収録のひとつ『穀田屋十三郎』を『残穢-住んではいけない部屋-』『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』を手掛けた中村義洋監督が映画化しました。

江戸時代中期、年貢の取り立てや労役で疲弊しきった宿場町を舞台にした実話に脚色を施した本作。このままでは宿場町が消滅すると危機感を募らせた町人たちが、藩にお金を貸して、毎年入ってくる利息を町のために使うという妙案を実行に移すため奔走する人たちの努力とドラマを笑いあり、涙ありの物語展開で描きます。

宿場町の未来を案じる主人公に『ジヌよさらば~かむろば村へ~』などの阿部サダヲさん、お上に金を貸して利息を取るというとんでもアイデアをひねり出す秀才に瑛太さん、過去の出来事で兄と確執ができてしまった高利貸しに妻夫木聡さん、物語のキーマンとなる先代・浅野屋甚内に山崎努さんなどをはじめ、若手俳優とベテラン俳優が入り乱れ、しっかりとした演技により、映画を盛り上げていきます。



『殿、利息でござる!』のスタッフとキャスト

スタッフ
監督・脚本:中村義洋
脚本:鈴木謙一
音楽:安川午朗
原作:磯田道史
主題歌:RCサクセション
製作総指揮:大角正、両角晃一
エグゼクティブプロデューサー:武田功、安達英雄
プロデューサー:池田史嗣、三好英明、鎌田恒幹
アソシエイトプロデューサー:稲垣竜一郎
撮影:沖村志宏
美術:新田隆之
照明:岡田佳樹
録音:松本昇和
編集:川瀬功
装飾:松本良二
スクリプター:小林加苗
演技事務:舟本佳子
助監督:佐和田惠
音楽プロデューサー:津島玄一
制作担当:小沼秀剛
仕上げ統括:佐藤正晃
ラインプロデューサー:湊谷恭史
協力プロデューサー:丸山典由喜、楠本直樹

キャスト
穀十田屋三郎:阿部サダヲ
菅原屋篤平治:瑛太
浅野屋甚内:妻夫木聡
とき:竹内結子
遠藤幾右衛門:寺脇康文
穀田屋十兵衛:きたろう
千坂仲内:千葉雄大
早坂屋新四郎:橋本一郎
穀田屋善八:中本賢
遠藤寿内:西村雅彦
なつ:山本舞香
加代:岩田華怜
橋本権右衛門:堀部圭亮
八島伝之助:斉藤歩
忠兵衛:芦川誠
相模屋利助:中村ゆうじ
瑞芝和尚:上田耕一
ナレーション:濱田岳
音右衛門:重岡大毅(ジャニーズWEST)
伊達重村:羽生結弦
萱場杢:松田龍平
きよ:草笛光子
先代・浅野屋甚内:山崎努



今、日本人が観るべき映画『殿、利息でござる!』

最近、東京都知事の公私混同による資金関係のニュースがネットやテレビで騒がれていますが、国民から税金を吸い上げ、その税金を使う人には絶対観てもらいたい映画です。お金を持っている人が、見返りなしにお金を出し合って町を助けるという発想。映画は江戸時代の話ですが、今でも十分通じるお話です。

また税金を納める私たちが観ても受け取るメッセージが多く、自分の利益を横において、自分の所属している組織や町などのために何ができるのかを、少し考えたいなと鑑賞後に思える映画でした。

劇中でも、自分の利益や名誉のためにお金を出す人もいるし、そうではない人もいます。そして、見返りのためにお金を出そうとする人にお灸を据えるため「つつしみのおきて」なるルールを作り、徹底的に守らせます。この一連の流れは、すごくリアルに感じる事ができました。現代でもありそうな場面を用意し、感情移入しやすく、わかりやすく製作されているので、気になっている人は、ぜひチェックしてみてください。



穀十田屋さんと浅野屋さんのドラマに感動『殿、利息でござる!』

映画の前半は途方も無い金額を捻出するため奔走すると同時に、計画を進めるため、要人たちを説得していく物語。後半では、お上にお金を貸すために、いくつもの壁にぶつかりながらも奮闘する人々を描いています。この中に笑いがあり、ときどきホロリとするものがあったりして、飽きないようにストーリーが構成されています。

進行する物語の中で、じょじょに姿を見せるのは、穀十田屋さんと浅野屋さんの確執。実は穀十田屋は浅野屋の兄であり、養子に出されたのです。穀十田屋は、ずっと自分には才能がないから、必要ないから養子に出されたのだと思い込んで僻んでいます。しかし、弟の浅野屋は生まれつき視力が低く、世界が霞んで見えてしまうのでした。これでは養子に出しても苦労する。だから元気だった穀十田屋を養子に出した事が終盤に明らかになります。そして、確執が消え、兄弟が力を合わせて困難に立ち向かっていくストーリーはとても感動的でした。

大量のお金を出資した浅野屋は、萱場という役人の策略により、さらにお金が必要になってしまった状況に対し、さらなる出資をします。穀十田屋や菅原屋は一旦断るのですが、すでに浅野屋は造り酒屋としては潰れていました。実は理由があり、先代の浅野屋は、町のために使えるように、ずっとお金を貯めていたのでした。先代の遺言に従い、浅野屋は宿場町存続のためにお金を全て出す覚悟だったんですね。養子に出されていて、ずっと憎んでいたであろう穀十田屋と父親が、実は同じ考えを持っているという事実に、また涙を流します。

親子二代に渡る、町を守るための物語。笑いもありながら、ホロリと泣かせる素晴らしい映画です。

「あんたはよく頑張った。あんたがこの町から出なければいけないのは、世の中の仕組みが悪いんだ」


『殿、利息でござる!』のレビューや評価

阿部サダヲさんが好きなので♡
コメディ映画と思って観に行ったら、ヒューマンドラマでした。感動します。
濱田岳さんのナレーションが好きでした。物語にピッタリでした。

たいへん素晴らしい映画だと思います。くすくすっと何度も笑わされながらも、途中からは涙が流れっぱなし。地味だけどハートの深いところにまで伝わってくる、ずっと大切に思える、そんな作品でした。中村監督の采配、お見事でした。

いやはや…タイトルと、ポスターに騙されました(笑)
勿論ププッと笑える箇所満載なのですが、それ以上に涙涙涙…。
ネタバレになるので言えませんが、「そ…そうだったの!?あれは伏線だったのね!」と納得。

by YAHOO!JAPAN映画



『殿、利息でござる!』のまとめ

ネットでの評価は高く、多くの人が楽しめている反面、いわゆる殺陣のある黒澤明監督のような時代劇が好きな人には、全くおすすめできない映画。時代劇というよりは、言葉のキャッチボールで見せる、コテコテの日本映画ですね。

時代劇はこうあるべき!っていう人はスルーした方がよく、邦画が好きな人にはオススメできる、面白い映画でした。




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