復讐の先に、何があるのか。

レヴェナント 蘇えりし者 (ハヤカワ文庫NV)
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『レヴェナント:蘇えりし者』(原題:THE REVENANT)

予告編動画




小説家マイケル・パイクの小説『蘇った亡霊:ある復讐の物語』(原題:The Revenant:A Novel of Revenge)を原作にした映画『レヴェナント:蘇えりし者』。アメリカの西部開拓時代を生きた実在の罠猟師ヒュー・グラスの半生と、ヒュー・グラスが体験した過酷なサバイバルの旅を壮絶に描写する、実話を基にした作品です。

シーンによっては、これはどのように撮影したのだろう。もしかして……と驚くシーンの連続。恐るべきパッションが観客に投げつけられる映画です。

今回は『レヴェナント:蘇えりし者』の感想を<ネタバレあり>で書いていきます。公開中の新作映画ですから、未見の人は、今回はスルーでお願いします。

↓ネタバレなし感想↓


『レヴェナント:蘇えりし者』のあらすじ

西部開拓時代のアメリカ北西部。

ヒュー・グラスはネイティブアメリカンの妻との間にできた息子・ホークとともに、毛皮を採取するチームに、ガイド役として動向していた。食料を確保するため森で狩りをしていたグラスたちの銃声を聞きつけて現れたネイティブアメリカンの一団に、チームは襲撃され、多くのメンバーが命を落とす中、生き残った数名は、船で川をくだるのだった。

途中でネイティブアメリカンたちを欺くため、船を捨て、持ってきた数少ない毛皮を隠し、砦を目指し、一行は山を越えるために出発する。途中、森で野営するチーム。翌朝、グラスは様子をうかがうため、周囲の見回りに出るが、子連れの熊に襲われ瀕死の重傷を負ってしまう。なかなか戻ってこないグラスを心配したチームメンバーによって見つけられたグラスにその場しのぎの治療を施すが、早く医者に見せないと命に関わる。チームリーダーである、隊長のアンドリュー・ヘンリーはグラスを運びながら、山越えすることを決断する。しかし、グラスを快く思っていないジョン・フィッツジェラルドには、理解できない。どうして、こんな役立たずを連れていく必要があるのか。

急ごしらえの担架でグラスを運ぶチーム。しかし、さまざまな困難に出会い、グラスを運んだままの山越えが不可能であると判断したヘンリー隊長は、グラスが死ぬまで見届け、きちんと埋葬する者を募る。手を上げたのはホークとグラスに憧れるジム・ブリッジャー、そしてフィッツジェラルドの3人。チームは4人を残し、再び出発するのだった。

フィッツジェラルドは、ホークとブリッジャーがいないところを見計らい、グラスを亡きものにしようと試みるが、ホークに見つかってしまう。ホークはフィッツジェラルドに銃を向けるものの、フィッツジェラルドに返り討ちにしてしまう。さらに、フィッツジェラルドはブリッジャーに「川にネイティブアメリカンたちがいる」と欺き、グラスを自分が掘った穴に放り投げ、土を軽くかけただけで、その場を離れるのだった。

目の前で息子を殺されてしまったグラス。一部始終を見ていたグラスは怒りに震え、折れた足を引きずり、フィッツジェラルドに復讐を果たすため、重体でありながら、砦へ向かうのであった。


公式ホームページ




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『レヴェナント:蘇えりし者』の概要

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞を受賞したアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが監督を務め、主演にはレオナルド・ディカプリオ、共演には『インセプション』以来のディカプリオとの共演になるトム・ハーディー。アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は本作『レヴェナント:蘇えりし者』にてアカデミー賞監督賞を、レオナルド・ディカプリオはアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。

また撮影監督にはエマニュエル・ルベツキを迎えた本作。エマニュエル・ルベツキは、アルフォンソ・キュアロン監督やテレンス・マリック監督とのコンビで知られる名撮影監督で、これまで7度アカデミー賞にノミネートされている常連です。2013年の『ゼロ・グラビティ』と2014年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、2015年の『レヴェナント: 蘇えりし者』で受賞を果たしています。ちなみに、3年連続受賞は史上初の快挙。

実力派俳優を揃え、強力なスタッフ陣で製作された『レヴェナント:蘇えりし者』で作り上げた映像に注目。上映時間は156分。



『レヴェナント:蘇えりし者』のスタッフとキャスト

スタッフ
監督・脚本・製作:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
音楽:坂本龍一、アルヴァ・ノト
撮影監督:エマニュエル・ルベツキ
脚本:マーク・L・スミス
製作:アーノン・ミルチャン、スティーヴ・ゴリン、ジェームズ・W・スコッチドープル
プロダクションデザイナー:ジャック・フィスク
衣装デザイナー:ジャクリーン・ウェスト
視覚効果スーパーバイザー:リッチ・マクブライド
編集:スティーヴン・ミリオン

キャスト
ヒュー・グラス:レオナルド・ディカプリオ
ジョン・フィッツジェラルド:トム・ハーディ
ヘンリー隊長:ドーナル・グリーソン
ジム・ブリジャー:ウィル・ポールター
ホーク:フォレスト・グッドラック
エルク・ドッグ:デュアン・ハワード
アンダーソン:ポール・アンダーソン
マーフィー:クリストッフェル・ヨーネル
スタッビー・ビル:ジョシュア・バージ
ジョーンズ:ルーカス・ハース
フライマン:ブレンダン・フレッチャー
ハイカック:アーサー・レッドクラウド
ヒュー・グラスの妻:グレイス・ドーヴ



熊との死闘、馬の中に身を隠すなど壮絶なサバイバルに注目『レヴェナント:蘇えりし者』

『レヴェナント:蘇えりし者』ではディカプリオをはじめ、役者さんの力が凄いですが、それと同じくらい印象に残っているのがサバイバルシーンです。

はじめに、レオナルド・ディカプリオ演じるグラスが、大きな熊に襲われるシーン。熊はCGで加工しているのはわかります。しかし、熊に襲われて振り回されたりする場面は、一体どんな感じで撮影されているのか、わからないほど、激しいアクションシーンになっています。容赦なく攻撃してくる熊は本当に怖く、何度も攻撃されているディカプリオが画面に映される度、小声で「うおっ」「うわっ」って声をあげてしまいました。森の中という狭いシチュエーションの中で繰り広げられるこのシーンは必見です。

次に印象に残っているシーンが、馬の中で寒さに耐えるという場面。鑑賞していない人は「えっ?」と思うかもしれませんが、文字通り、グラスが馬の中に入るシーンがあるんですね。自分が乗馬していた馬が崖から落ちて絶命しており、移動も困難な状況の中で夜が迫ってくるという場面。グラスは何かを思い出し、馬にナイフを突き刺し、内臓を取り出して、その馬の中に裸になって入るんですよ。こんな方法があるのか……と絶句してしまいました。サバイバルって凄いってもんじゃねーなと。

あと、これもどういう風に撮影しているのか不明なんですが、グラスが生肉をそのまま食べたり、魚をわしづかみにしたかと思うと、すかさずお腹を丸かじりしたり。生のまま、食べちゃうんですよね。ここまで徹底したサバイバルは見たことがなかったので、かなり印象的でした。

最後に、途中で出会うネイティブアメリカンの人がいるんですが、グラスを助けるために大きな枝などで小さなかまくらみたいなものを作り、中で火を起こして、その火で氷を溶かし、水蒸気を発生させるんですね。グラスの肉体が中途半端な治療を施されていたため、腐敗が始まっていたんです。それを防ぐためにおこなったことなんですが、「あぁ、こんな方法があるのか」って感心しました。

サバイバルシーンを通し、自然の奥深さを改めて感じる事になりました。



ポワカを巡るもうひとつの復讐劇が展開する『レヴェナント:蘇えりし者』

『レヴェナント:蘇えりし者』では、グラスの復讐劇の他に、もうひとつの復讐劇が存在します。それはグラスたちを追跡する原住民のアリカラ族。族長(と思われる)がポワカという娘を白人に連れ去られ、ポワカを探すために白人の集団を襲撃し続けている物語が示唆されています。

あくまでヒュー・グラスの復讐劇をメインに、砦に戻るため、グラスのサバイバルが描写される一方、アリカラ族の長は、果たしてポワカを取り戻せるのか、誰に連れ去られたのか、ストーリーが二重になっていて、観客を飽きさせないように工夫されています。

ただ、このアリカラ族については、もう少しストーリーを濃くしても良かったかもしれません。グラスの亡き妻はネイティブアメリカンなんですが、彼女はアリカラ族と敵対している種族であることが劇中で言及されています。そのため、グラスは彼らに助けを求めることができないという状況です。ですから、グラスは彼らと距離を取りますし、アリカラ族はグラスが白人だから問答無用で攻撃するんですが、ポワカが誘拐されたという事だけが明確で、そのほかのアリカラ族に関する情報が曖昧なんですね。だから、アリカラ族たちに対して、いまひとつ、こう気持ちが入らない。ラストでポワカはいつのまにか仲間と合流していて感動的なはずなのに、あまり心が揺さぶられなかった。このあたり、もうちょっと描写されていたら、さらに、ググっと心に突き刺さる映画になったかもしれません。

暴力によって奪われたものを、暴力で取り返す。グラスの息子ホークは帰ってきませんが、ホークの誇りをグラスは取り返した訳で、この暴力の循環というストーリーは、なんとも頭にずっしりと残る重厚なテーマ。ふたつの復讐劇を通して、上手に描写しているなぁと感じました。



『レヴェナント:蘇えりし者』のレビューや評価

本来大自然が持つ過酷さ、残酷さ、そして美しさをこの映画は「体感として」観客に伝えている。
ディカプリオからはあまりの寒さに、演技を超えた実感が伝わってくる。

最初から迫力満点の戦闘シーンに思わず引き込まれます。
レオ様の演技力はもちろんの事、グリズリーの迫力、広大な自然の風景と極寒に生き抜く人間の強さ、知恵、息子への愛情、そして復讐の強さを感じて、あっという間の2時間37分でした。

極寒の森と川を見事に表現。画面から寒さが伝わってくる。人物を回るカメラワークがいい。 オープニングの戦闘シーンはプライベート・ライアンに匹敵するリアリティーと迫力。そしてディカプリオのサバイバルシーンが強烈。熊・魚・馬を相手に驚くシーンが登場する。父子の絆、生き残るためのぎりぎりの選択。人間ドラマとしても素晴らしい。



『レヴェナント:蘇えりし者』のまとめ

もう少し物語を展開させても良いかなと思う反面、これでも良いと思っています。もう少し掘り下げれば、映画としてはわかりやすいものになり、鑑賞できる人の幅も広がります。けれど、少し曖昧なまま、ストーリーを進行することで、人によって感じる印象が、いろいろ変わるようになっているので、やっぱり私は、このぐらいがベストだったかなと思います。

誰にでもオススメできる映画ではありません。変わった映画で、地味なストーリー展開でも、役者さんの演技で最後まで鑑賞できる人なら、楽しめる映画になっています。もし、鑑賞しようかどうか悩んでいる方は、ぜひ映画館での鑑賞を検討してみてください。映画館で観るのと、ブルーレイやDVDで家で観るのと、かなり印象が変わる映画です。



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