エゴと欲望が暴走した時<それ>は姿を現す。

今回ご紹介する映画:『マタンゴ』(英題「MATANGO」「The Fungus of Terror」「Curse of the Mushroom People」)
オススメ度:★★★★★(五つ星!)


予告編動画




『マタンゴ』のあらすじ

7人の若者を乗せたヨットが予期せぬ嵐に遭遇し、誰も知らない無人島に漂着した。ヨットもボロボロになり、食料もないため、無人島に上陸する一行。そこで、彼らは、一隻の難破船を発見する。その難破船を探索したところ、乗員の姿はなく、コケとキノコが異様なほどに群生していた。

何かの研究をおこなうための船である事は、備品などでわかるものの、国籍や目的も不明な船であった。掃除をすれば当面の寝床になるだろうと考えた一行は、その難破船を拠点にサバイバルを始める。幸運にも、難破船にはわずかではあるが、缶詰が残されており、その食料を頼りに生活を始めた。

だが、食料もわずかしかない状況で、彼らはやがて各人が自分勝手な振る舞いをするようになり、団結力が失われていこうとしていた。そんな中、一行の一人が、絶対に食べてはいけない、その島にしか生存していないキノコを食べてしまう。。。




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昔から、ずっと気になっていたものの、物心ついた頃には、すでにビデオレンタルもされていなくて、鑑賞するタイミングがなかった『マタンゴ』。名作とも呼ばれている本作を、ようやく鑑賞する事ができました。以前は、ツタヤディスカスで検索してもDVDが出てこなかったのに、ここ数年の間にレンタルが開始したのでしょうかね。

『吸血鬼ゴケミドロ』を鑑賞して以来、『マタンゴ』に多大な期待を寄せていたわたしは、早速、鑑賞いたしました。

ということで、今回は『マタンゴ』の感想を書いていくんだぜ?



『マタンゴ』のスタッフとキャスト

スタッフ
監督:本多猪四郎
脚本:木村武
特技監督:円谷英二
原作:ウィリアム・ホープ・ホジスン

キャスト
久保明
水野久美
小泉博
土屋嘉男
太刀川寛
佐原健二
八代美紀
天本英世
熊谷二良
草間璋夫
岡豊




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『マタンゴ』の感想

想像していたストーリーとかなり違っていましたけれど、かなり面白かったです。

脚本をはじめ、俳優さんの演技、映像構成、特撮。全てのバランスが絶妙に噛み合って成立している傑作。

ホラーという切り口でみると、雰囲気ホラーといえる作品。不気味な空気感を楽しめない人には不向きな映画ですね。

マタンゴという西洋ホラーの題材であるにも関わらず、上手に和風ホラーに仕上げている点に脱帽。昔の映画は、ほんと、攻めてますなぁ。



『マタンゴ』の良いところ

ドクドクしい都会の場面からスタートする本作。一貫した不気味な雰囲気がとても良いですね。題名が「マタンゴ」なんですが、実はキノコ人類であるところのマタンゴさんは、さほど登場しません。でも、それがかえって、不気味な雰囲気を漂わせていて、グッドでございました。

最初は、キャラクター紹介や各人物の相関関係を描写するため、ゆっくりと進行していきます。関係性がある程度、把握できたところで、展開がスピーディーなものに切り替わり、ラストまでダレる事なく、一気に見てしまう構成になっています。

マタンゴによる恐怖ではなく、極限状態におかれた人の醜さと恐怖をメインに据えた映画。人のエゴを誇張することなく描写していて、どの人物にも嫌悪感を抱く事ができないという不思議な映画でした。この点は、よく比較されている『吸血鬼ゴケミドロ』とは異なる点ですね。エゴや欲望が無理矢理、強調されていないので、見やすい映画に仕上がっていました。

とにかく脚本が素晴らしい。今見て、ここまで面白く感じるとは思いませんでした。名作と言われるだけの事はありますね。

雨が降り、キノコがゆっくりと大きくなっていくシーンは、独特の不気味さがあって、大好き。名シーンだと思います。



『マタンゴ』の悪いところ

マタンゴは、ほぼ登場しないため、不気味な空気と控えめだけど醜い人間ドラマを楽しめないと、ラストまで鑑賞するのは難しい映画でしょうね。その二点をクリアできれば、この映画を楽しめるのですが。。。


『マタンゴ』のまとめ

マタンゴの声?は、バルタン星人でしたね。そういうこともあってか、マタンゴ、怖い。けれど、キノコを美味しそうに頬張る姿を見ていると、キノコを食べたくなってしまった。近いうちにキノコ鍋なぞ、やりましょうかね。

確かに、この映画、子供の頃に観たら、トラウマになりますね。グロテスクな描写はないのに気持ち悪いっていう、奇妙な映画でございました。

昔の映画でも楽しく見ることができる人には、オススメの映画。

DVDが欲しくなりました!

ちなみに正式な許諾をとった続編『マタンゴ 最後の逆襲』という小説があるようです。そのうち、その本も読んでみようかな??




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『マタンゴ』ネタバレあり感想

ラストは「やっぱり……」ってなって、すごく、すごく悔しかった。

キノコは胞子で仲間を増やす生物なので、あんな長期間、マタンゴが群生する島にいれば、そりゃ、体内にマタンゴの胞子も付着しますわなぁ。マタンゴは最後に本土に渡ったと考えると、すごく怖い。このあたりは、なんかゾンビ映画を彷彿とさせる、一種の終末のようでした。

キノコを食べないために、どうするかという、変わった切り口でストーリーが進行する訳ですが、昨今、こんな切り口で映画を作るという点はすごいですね。今なら、キノコを食べてからの恐怖を描くと思いますから。

いろんな意味で変化球な映画でした。オススメですよ、ほんと。



『マタンゴ』のレビューや評価

ストーリーは日本のSF作家の元祖とも言うべき存在の福島氏が書いているだけあって、SFの中に程よいバランスで怪奇性を織り込み、飽きさせない作りになっています。冒頭とラストに都会の精神病院を持ってくる事によって、よりマタンゴの島のエピソードが浮き彫りにされる、ニクイ演出。
CG無しでここまで作れる。凄いとしか言いようがありません。

東宝特撮の傑作だ。逃げられない環境設定の中での、極限状態における人間模様を見事に描いている。

全編通して、霧が濃く、じめじめとした空気を漂わせ、後半には雨がひたすら降りつづけ。
キノコや船内にみっちりと生えるコケやカビのミドリイロが強烈で。
思わず換気をしたくなるほど。
しかもそれに合わせたかのよーに、関口麻美(水野久美)の洋服コーディネートがミドリイロという徹底ぶり。
食料もなく、助けも来ない絶望的状況で、「キノコ食えばイッちゃえるよ」なんて快楽が目の前にあれば、手をつけちゃうのが人間なんだろな。
弱いところが怖い。


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