人は皆キズを抱えて生きている。



今回ご紹介する映画:『Ink(インク)』
原題:『Ink』
製作:2009年アメリカ
上映時間:1時間46分
オススメ度:★★★★★(五つ星!)



予告編動画





『Ink(インク)』のあらすじ

何かに苛立ちながら車に乗り込んだジョンは、他の車に横から突撃され、交通事故に遭遇する。薄れゆく意識の中、誰かの声が聞こえた。

「チックタック、この男は事故に遭った」

閑静な住宅街。住人たちは、みな、眠りについていた。そんな街に、ストロボのような光が現れ、不思議な雰囲気を持つ人々が姿を見せる。一方、黒い不気味な姿をした男たちも現れる。

鼻の大きな男インクが、ある少女を攫うため、街に現れる。ストロボから登場した戦士たちに邪魔されながらも、彼は少女を連れ出す事に成功。時空の狭間へ逃亡する。

戦士たちは「案内人」と接触。少女を救うべく、行動を始めるのだった。

同じ頃、インクは「集会」に必要なコードを求め「語り部」と出会い、ジョンは過去の世界を彷徨い始めるのだった。




スポンサーリンク




Amazonで何を観ようかなぁ~と配信作品を見ていると、見たことのない映画を発見。『Ink』という作品。画像を見ていると、すごく雰囲気のあるものになっていて、すごく不気味な感じ。Amazon内の評価も非常に高く、レビューもかなり熱い感じだったので、本作をチョイス。今回はAmazon Fire にダウンロードして視聴しました。

という事で、『Ink(インク)』の感想、書いていくんだぜ?




今回利用した動画配信サービス





『Ink(インク)』のスタッフとキャスト

監督・脚本:Jamin Winans
製作:Double Edge Films
出演者:Christopher Soren Kelly、Quinn Hunchar、Jessica Duffy、Jeremy Make、Jennifer Batter、Eme Ikwuakor、Shelby Malone、他




Ink



『Ink(インク)』の感想

これは……面白い!素晴らしい!!

なぜ、これがAmazonの動画配信のみの作品なのか。DVD、ブルーレイといったソフトになっていてもおかしくないクオリティー。

製作はDouble Edge Films という会社ですが、残念ながら、日本ではピックアップされていない製作会社のようです。調べてみても日本語ページは見つかりませんでした。また本作で監督と脚本を手掛けたJamin Winansは、今まで日本では紹介されていないクリエイター。Wikiによると、2005年の『Spin』(短編作品)と『11:59』(長編作品)、2009年の本作、2014年の『The Frame』の4作品がよく知られているらしいですね。『The Frame』は、アマゾンで配信されているので、近々チェックしてみます。

とにかく独特の世界観とビジュアル、そしてストーリー展開。ハマれば、とてつもなく面白い映画なのですが、ハマる事ができなければ、意味不明で全く面白くないという作品。好き嫌いが無茶苦茶わかれてしまう、凄まじい作品でしたね。

わたしは、思い切りハマってしまい、すっかり打ちのめされてしまいました。

低予算映画、自主制作に近い作品。自分の考え方をちゃんと表現しながらも、ちゃんとエンタメを意識して作られている良作。

風変わりな映画を探している方には、とにかくオススメ。Amazonプライム会員であれば無料で視聴する事ができます。プライム会員でなくても、動画レンタル、または動画購入できますので、興味のある方はご検討ください。

いやぁ、ほんと、掘り出し物を見つけたぜ!




『Ink(インク)』の良いところ

一番最初に目を惹いたのは、不気味な男たちのビジュアル。ちょっと文章では説明しにくい姿をしているんですが、彼らの姿は秀逸です。正体についても中盤でさらりと説明しつつ、しかしながら、存在についてはほとんど解説しないという姿勢がよいです。

本作の特徴のひとつに、説明や解説がほぼナッシングという点が挙げられます。設定がライトノベルやアニメのように、かなり深い世界観なのですが、その割には、劇中で説明がありません。例えば、重要なキーパーソンとなる「案内人(パスファインダー)」や「語り部(ストーリーテラー)」、「集会」、「コード」など、独特の単語が色々と登場します。映画を通して、なんとなくわかりますが、はっきり説明したり、解説したりするのは、ちょっと難しいですね。なぜなら、説明する場合、自分の解釈が多く入ってしまうからです。それくらい、説明がありません。そして、この潔さが素晴らしいです。説明してしまうと、この映画の良さがなくなってしまうので、この監督、本当に才能の塊のような人ですな。

世界観を見てみると、どこまでもストーリーを広げる事ができるのですが、本作では父娘だけにフォーカスを当てた、非常に地味な物語となっています。ここにも監督の潔さが発揮されています。父親とその娘の、喪失と再生のストーリー。要所要所でホロリとするシーンも挿入されていて、鑑賞後の満足度は半端ありません。

インクというキャラクターの正体については、観客は割りと早めの段階でわかってしまうのですが、途中からインクの正体よりも、なぜインクという存在になったのか。そしてインクは、どういう未来をチョイスするのか、という部分に興味のフォーカスが移っていくので、完全に監督の手のひらで踊らされる感じになってしまいました。

Blu-rayが発売されたら、確実に購入するであろう、素晴らしい映画です。




『Ink(インク)』の悪いところ

この映画が好きすぎて、悪い点を挙げるのは難しいのですが、良い点がそのまま悪い点につながるのは、面白い作品の宿命なのかもしれません。

とにかくわかりにくいという点につきますね。わたしのように、そのあたりを綺麗にスルーして映画を楽しめるのであれば、「わかりにくさ」はメリットとして機能するのですが、説明・解説・整合性を求める方には、その「わかりにくさ」はデメリットとなってしまいます。説明や解説、整合性にフォーカスをあてて映画を鑑賞するタイプの人には、オススメできません。




『Ink(インク)』のまとめ

こういう好きと嫌いがはっきり分かれる映画、ほんと大好きです。アニメ好きの人には、意外とすんなり受け入れられるような気がしますね。

本作では登場人物たちがそれぞれ魅力的。特に「案内人」のキャラクターが良かった。すごく格好良い人や可愛い人、綺麗な人はいないのですが、それぞれの俳優さんたちが放つ雰囲気で、しっかりキャラクターを描いているので、すごく魅力的に映っています。

説明のない作品でも大歓迎!という方には、とにかくオススメしたい。個人的には大満足であり、大好きな映画です。




この記事がイイネ!と思ったら下のブログランキングボタンをクリックして頂けると嬉しいです☆

人気ブログランキングへ



※海外版DVD






↓ここからネタバレあり。注意!↓





『Ink(インク)』ネタバレあり感想

やり手のビジネスマンであるジョン、現実世界の裏側で謎の存在と戦う人々、「集会」に招待されるべくコードを探すインク。実は、それぞれ異なる時間軸の物語で、インクはジョンが最初に選んでしまった未来の姿。それは「後悔」という感情に支配されてしまった、ジョンの成れの果て。そんなインクが自分の娘を悪魔に差し出す事で、感情の全てを帳消しにし、晴れて悪魔になるというのが、インクのストーリーだったようです。

不気味な男たちが「悪魔」であれば、ジョンの娘であるエマを守るため、取り戻すために奮闘する人々は天使という事でしょうかね。天使たちはジョンが、もうひとつの未来を選ぶ事のできる資格を有していると判断しているようで、エマのためにジョンが「父親」として改めて喪失感に苛まれている気持ちを再生させるべく、ジョンの知らないところで、ジョンを助けます。

ジョンは交通事故に遭遇し、意識不明の状態の中、過去を振り返る。まさしく三重の物語が展開されながらも、一切の混乱が観客に襲ってこない、稀有な作品でした。

大切なものを全て喪失し、絶望してしまったインクが、最後、「語り部」の存在により、ジョンの記憶を取り戻すシーンと、その後のおびただしい数の悪魔に一人で立ち向かう姿には、本当に涙してしまいました。

変わり果てた姿を見て、最後にエマが「パパなの??」と声をかけるシーンで、ほんと、涙が止まりませんでした。

喪失と再生の物語を描く『インク』。エンターテインメントとして成立しながらも、最後に感動が襲ってくる物語構成は、昔に鑑賞した『シックス・センス』を思い出しましたね。