僕の兄は、クローゼットに**を隠してる。


今回ご紹介する映画:『ファウンド』
原題:『FOUND』
製作:2012年カナダ
上映時間:103分
オススメ度:★★★★☆(四つ星!)


予告編動画





『ファウンド』のあらすじ

11歳の少年マーティ。学校ではいじめられ、両親も不仲。そんな彼の楽しみは、家族の秘密をのぞき見すること。
お母さんの秘密は、ベッドの下に隠されたラブレター。お父さんの秘密は、車庫の奥のヌード雑誌。
だからお兄ちゃんが、クローゼットに生首を隠していても変じゃない。時々変わる生首を、人知れず取り出しては眺めるマーティ。
しかしある晩、いつものようにクローゼットを探るとそこには同級生の首が…。僕が秘密を知ってること、お兄ちゃんが気付いたかもしれない…。
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「未体験ゾーンの映画たち2017」で上映されていた、風変わりな映画『ファウンド』。このブログでも紹介した事がありましたけれど、DVDをレンタルして鑑賞しましたよ。


史上最も美しい低予算スプラッター映画『ファウンド』の予告編

無名のスタッフと無名のキャストによって、約8,000ドルで製作されたホラー映画『ファウンド』は、賛否がものすごく分かれる作品で、低予算というより自主制作むき出しの映像画質は、観る人を相当に選んでしまう怪作です。

原作の小説が元々あり、それを2012年に映画として製作。5年の時を経て、ついに日本に上陸しました。

という事で、今回は『ファウンド』の感想を書いていくんだぜ?




『ファウンド』のスタッフとキャスト

監督・脚本・編集:スコット・シャーマー
原作・脚本:トッド・リグニー
制作・撮影:レヤ・タイラー

出演者
ギャビン・ブラウン
イーサン・フィルベック
フィリス・ムンロ
ルーイ・ローレス
アレックス・コギン







『ファウンド』の感想

ホラー映画というよりは、少年の思春期における葛藤を描く、ジュヴナイルムービーです。ヒーローと怪人の紙一重具合が半端ではない怪作。主人公であるマーティはグラフィックノベルと呼ばれるアメコミを書いていて、けれど、その漫画に登場するヒーローは、ホラー映画における怪人の立ち位置。このあたり、実はちょっとした伏線になっているのが、なかなか良い感じです。

昨今の映画では珍しく、潔いくらいのスプラッターシーンがありますので、そのあたりで観る人を選ぶ作品ではあるんですが、ゴア描写ばかりの作品ではないので、観やすいスプラッター映画といった感じ。

わたしは、結構、好きな類の映画で、少年の微妙な心情をホラー映画というものを通じて、上手に描いたなぁといった感じです。けっして、万人にはオススメしない作品ではありますが、ホラー映画が好きでスプラッターに耐性があり、さらに主観的に映画を楽しむ人であれば、チャレンジしてみて損はないかもしれません。




『ファウンド』の良いところ

スプラッターシーンはちゃんとスプラッターしていますし、マーティの日常についての描写は、きちんと描いているし、映画としては意外と普通の作り方をしています。

物語展開は地味で、一見すると盛り上がりがなく話が進んでいないように思えますが、マーティの視点から映画を見てみると、ちゃんとストーリーは進んでいます。また彼にとっての大事件もちゃんと存在するため、盛り上がりもちゃんと配置されているんですよね。主観的な映画の見方をしていると、このあたり、ちゃんとわかります。逆に客観的に映画を鑑賞するスタイルの人には、このあたりの微妙な変化を捉える事ができないと思います。

劇中作の「ヘッドレス」は、スプラッター映画そのままで、かなりエグい内容なんですが、その劇中映画が伏線になっているし、地味なマーティの物語の中でスパイスとして機能しております。

無名のキャストたちのお芝居は、お世辞にも上手とはいえません。しかし、この上手ではないお芝居が、本作の雰囲気に妙にマッチしておりまして、特に気になる事はありませんでした。

物語の奇抜さを優先するのではなく、いろんなジャンルをミックスし、低予算・自主製作性を上手く活かす事に重きを置いたB級映画です。




『ファウンド』の悪いところ

強烈なあらすじの割にはストーリーがなく地味である印象が拭えない本作。そこが本作の味でもあるわけですが、バリバリの映画的展開を楽しみにしている人にとっては、すごく肩透かしになってしまう事、請け合いです。ハズレ映画でも、ある程度、許容できる人でないと、「なんやねんっ!!」って、ミシミシとディスクを割りかねない映画でした。

盛り上がりがないのと、キャラクターの背景が全く描写ナッシング状態なので、説明欲しい人にとっては苦痛。一応、映画を観ていると、推測できるような感じになっているんですが、はっきりとした描写はないので、整合性が欲しい人にはオススメできない映画です。




『ファウンド』のまとめ

客観的に映画を観る人には、全く持って面白くない映画。しかし、主観的に映画を鑑賞したり、イマジネーションが豊富な人が観ると、この映画はかなり面白く鑑賞できます。

ホラー映画というよりはスプラッター・ムービー。さらに純粋なスプラッター映画ではないので、色んなジャンルに対しての耐性がないと鑑賞できない、かなりクセのある映画でございます。予告編を観てみて、鑑賞するかどうか、判断してください。ちなみに、ゴア描写、結構エグいですぜ。

宣伝文句に「イット・フォローズを越えた!」という文字がありましたけど、さすがにそれは言い過ぎ。『イット・フォローズ』の方が、遥かに完成度は高い。けれど、製作の環境が全く異なっているので、比べる事がそもそも間違っているんですけどね。




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↓ここからネタバレあり。注意!↓





『ファウンド』ネタバレあり感想

本作、ラストのワンカットが全てであると言えます。

拘束されたマーティの隣に、それぞれ父親と母親の生首が置かれ、その生首には目玉がえぐり取られている。凄惨なシーンでありながら、スプラッター映画とは思えない、なんともいえない<美しい>場面に仕上がっています。おそらく、監督はこのシーンを撮りたいがために本作を製作したんじゃないかな??

劇中で流れる架空のスプラッター映画「ヘッドレス」の変態的な描写も、いきすぎていて、かえって綺麗に見えてきます。なんとも不思議な映画でございましたな。

個人的には、正直、DVD購入を検討したい映画。それくらい、なんかどストライクな映画でした。なんともいえない魅力がありますなぁ。




『ファウンド』のレビューや評価

一体、何の意図があってこの映画が撮られたのか。何を表現したかったのか。今までどのような生き方を、この監督はしてきたのか。もはやすべてが計り知れない。しかし、強烈な魅力を感じてしまう。

ただ不快。

主人公の少年、兄、両親、友人がみんな
昔のホラーに出てきそうなキャラクターで、すばらしく魅力的。
演じる俳優陣も最高!
映像もレトロで、少年たちが見るレンタルビデオの映像はかなりグロい。ストーリーにも引き込まれて見てたけど、後半の兄の暴走が残念。
フロイト理論のままいってるのかもしれないけど、すごくいやな展開で、違う方向にいってほしかったなあ…と思う。


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